感想日記 夜明けの青

主に小説・アニメ・マンガの感想、日記、雑感 誰かの役には立ちません @madderred100

【個人用メモ】最近見たもの

映画 2

「サマーオブ84」

 殺人鬼だって誰かの隣人、を合言葉に、少年の一夏の冒険を描く作品。自分自身も殺人鬼との邂逅というモチーフを書いているから分かるのだけど、この類型は、犯人と出会うという嘘にどうやってリアリティをつけるか、ということに苦心するもので、そこを上手くクリアできない限りは、この系統は面白くならない。「ネガティブハッピーチェーンソーエッジ」「嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん」辺りはそこをクリアしたうえで、物語を書いているので面白いのである。そこはご都合主義であってはいけない。

 

モリーズ・ゲーム

 記事を書いたのだけど、アーロンソーキン監督つながりで、次は「ソーシャルネットワーク」を見たい。あと、時系列を前後させる手法、面白そうなので自分も試したい。

 

閉ざされた森

 ラストのどんでん返しが、こじつけだったけれど、まあサスペンスとして秀作だったと思う。細かい情報の積み重ねと、そこから生じる矛盾と解決。話の方向はだいたい読めていたけれど、見せ方が上手いとやっぱり面白い。見たいものを見せるというは重要。

 

ゴジラ キング・オブ・モンスターズ」

 見れた。やっと見れた。のだけれど、ネットでもてはやされていたよりかは、楽しめなかった。元々ゴジラファンではないので、その辺りが原因かな。レディプレイヤー1も乗り切れなかったので、ちょっと悔しい。双子の教授とか、モンペおばさんとか、大筋よりも小ネタが面白かった印象。

 

「Mank マンク」

 市民ケーンも、選挙戦も、予習しないで見たのだけれど、それでも余りあるほど面白かった。ただ、いっぱい取りこぼしているのだろうな、と思うと、二度目も見たいなと思う。だけども、やっぱり予習はしないのだろうけど。市民ケーンくらいは勉強しておこうかな。

 

スパイダーマン スパイダーバース」

 劇場で見たら、色がすごかっただろうな。2の予定があるとかないとかで、そっちも楽しみ。ピーター・B・パーカーの中年姿が感傷的。最近はああいう疲れた、でも大人の責任をせいいっぱい果たそうとするキャラに弱い。

 

「シカゴ7裁判」

 ジョセフゴードンレヴィットは、やっぱりいい俳優だ。アーロンソーキン監督もやっぱりいい。というか、これを初めに見た。ストーリーテリングが上手くて、これも時系列が現在と過去を行ったり来たりするのだけど、焦点がうまく絞られているから、混乱なく見られる。「ジャッジ 裁かれた判事(タイトルうろ覚え)」もそうだったけど、裁判ものの映画に外れってないんじゃないかな。面白い映画を見られるとうれしい。とくに自分で選んだものだったりすると尚更。

 

アメリカンアニマルズ」

 ことごとく凡人の話。本人たちのインタビューを交えたからか、エンタメ方向には振り切れなかったのかな、と思った。快楽線がかなり去勢されていて、この映画を見て、楽しんではダメだよ、と制作側がセーブしていたのが印象的。凡人の物語って、やっぱりエンタメになりにくいんだよな、と思った。

 

イコライザー

 デンゼルワシントンって、どことなく嫌味な感じがして、好きではなかったんだけど、今作はそれがキャラにマッチしていて、よかった。いけすかない元CIA工作員がばったばったとマフィアを殺し、か弱い女の子を救う、アメリカの池波正太郎作品(読んだことないけど)でも、フォーマットとしては、そんな感じ?

 それと、めっちゃ好きだと思ったのが、掃除係を案内する地元警察のフランク。アイリッシュマフィアの事務所に入って、突然、ボスに殴りかかる掃除係に合わせて、銃を抜き、護衛を撃ち殺した、あの勘と手際の良さには脱帽した。あのシーン一つでこの映画はおつりがくる。 

 

「ハーレイクインの華麗なる覚醒」

 警察署にカチコミに行ったシーンは好きだけど、全体的な出来は、あと一息足りない感じだった。せっかくのハーレイクインなのに、もっと弾けないでどうするんだろう。キメキメのアゲアゲ(?)でやってほしかった。これならクリストファーノーランの方が、キマッてるぞ☆

 苦言ばっかりだと進歩がないので。これも時系列前後の脚本だけれど、面白い流れを切って、説明的に時系列を操作するので、面白さに欠けていたと思う。知りたいことこそ、過去に持っていくべきで、アクションが一段落したから、じゃあ説明パートという使い方はいまいちでは?

 

嫌われ松子の一生

 見たかったのだ。これこそ見たかった。で、とっても良かった。冒頭はサイコな映像で始まったので、マジかこれ、と思ったけど、どうも客寄せだったようで、あとはしり上がりに面白くなっていった。

 素晴らしき哉人生、というテーマであるのだろうけど、ラスト前の、空想の中で妹の髪を切って「いけるじゃん、私」と呟いたシーンが、狂おしいほど好き。そうなんだよなあ。いけるじゃん、私、と思える限りは生きていけるんだよなあ、と。あとは、ことあるごとに、何で! と叫ぶのもすごく共感してしまって、人生上手くいかない時ほど、何で! って叫びたくなるよね。

 松子の人生って波乱万丈だけど、でも、人生の幸福は、感情の総量(正負あわせて)と考えると、めちゃくちゃ豊かな人生だよな、その時の苦しさはまた別だけど、と思って、ああ、好きだなって。

 

「スリープオーバー 夜の大冒険」

 兄が見つけてくるB級映画。子ども向けだけれど、悪くなかった。とくにパパのキャラが良くて、ママは昔、スパイまがいの行為をしていた悪党だということで、過去の仲間に狙われるのだけれど、それを知った時のパパの反応が逐一面白い。実際、パパのキャラで映画が持ったような気もする。パティシエは指力が基本。しっかり鍛えましょう。

 

ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝」

 泣いた。ヴァイオレットは何でか、無条件で泣いてしまうよね。

 で、今作は全寮制の女学校と、孤児院を抜け出した子どもというありふれた設定を二つ取り扱っている作品で、それ自体は可もなく不可もないとはいえ、オリジナリティを出すのは難しいでしょ、と思った。のだけれど、今作が描きたいのは、姉妹愛な訳で、上の二つの設定というのは、それを描くための舞台装置なのだ、というのが身に沁みるほどよく分かった。

 つまり何が言いたいかというと、設定は設定でしかない。その先に本当に描きたいものの姿が見えていなければ、設定に惑わされてしまうのだ、ということ。かなり自戒を込めて書いているのだけど、女学校も、子どもの職業体験も、それ自体が魅力的でいくつもの素晴らしい作品が描かれているもので、自分も書いてみたいと思わせる魅力がある。だけれど、それに振り回されると、結局、内輪ネタであったり、縮小再生産になりがちだということ。

 今作では、そこを乗り越えて、というより、姉妹愛を描くための道具と割り切って、だけれど妥協はせず、設定を扱っていて、ぐおーと思った。そんなことを考えながら見ていても、泣けるのだから、すごいよなあ。

 

読書 30

「浜村渚の計算ノート」著 青柳碧人

 高校時代、数学が得意で国語が全くダメ、という同級生が唯一読めた小説と言っていたのが記憶に残っている。面白かったけれど、文章が軽かったので、個人的には物足りないのだけれど、四色問題(自分が高校生の頃は答えが出ていなくて、たしか予想? だったはずなのが、今はもう答えが出ているのでしょう?)とか、円周率(ループしない数字の羅列ということで暗号での運用が期待されている・た?)とか、あの頃を思い出すような話ばかりで、懐かしくなった。

 

「盤上のアルファ」著 塩田武士

 将棋もの、というと最近、見境なく読みたくなる。盤上の向日葵も読みたいのだけれど、NHKのドラマを見たら、何となく予想がついたので、気持ちが萎んでしまった。

 今作については、やっぱ、将棋の駆け引きは小説の中心に据えられないよな、とがっかり半分、人間ドラマがしっかりしていて面白い半分、ぐらいの気持ちでした。

 

「日本SFの臨界点[恋愛編]」編 伴名練

 内容ほとんど覚えていなくて、ダメだこりゃ。小田雅久仁さんの「人生、信号待ち」は面白くて、やっぱ好きだなあ、と思ったくらい。怪奇編は途中で止まってるのだけど、頭に残っている作品が二つくらいあるので、そっちの方が好みかもしれない。恋愛編というと、SFギミックの他に、人と人のやりとりが入るので、印象が薄くなるのかな。人間関係のやりとりがあまり好みではないのは確か。

 

冲方式ストーリー創作塾」著 冲方丁

 冲方丁さんの実作の過程がつづられた指南書というより、エッセイ。自分が、参考に出来ることはあまりなくて、こういうのは一般論になると抽象的すぎで、個別論になると応用が利かなくて、という痒い所に手が届かない状態になりがち。自分が悩んでいることを、過去の有名作家も悩んでいるのだな、と慰められるばかりで、あんまり……。どうしたらいいんでしょうね?

 

「出版翻訳家なんてなるんじゃなかった日記」著 宮崎伸治

 いつだかプライムリーディングとか、カクヨムで公開されていた作家の方の、裁判の経緯みたいな暴露本を読んだのだけれど、読後感はそれと同じ。翻訳のあれこれが読めると思ったのだけれど、書いてあるのは出版社とのいざこざ。期待していたものが読めなかったのは残念だけれど、面白いことは面白かった。

 

アニメ 21

「放課後ていぼう日誌」

 軽くロスになった。春が待ち遠しい。春イカが食べたい。アジゴの唐揚げも美味しそう。キスの天ぷら、いいな。アジフライ、ふわふわのやつ、ソースをかけて、ぱくっと。空気感が良かった。あと、部長の方言。ここをこぎゃんして、ぎゃんして、ぎゃん。テンポが良いね。

 釣りは父が好きで、よく連れて行ってもらったけど、何だか、またやりたいなと思った。ただ、釣りって完全に初見殺しゲーで、知識がないと即死なので、一緒に楽しめる友達がいたらいいよな、と思った。

 作品に関して言うと、キャラが割と古典的な気がして、でも、楽しめるあたり、何なんだろうな、と疑問に思うばっかりで、何も答え出てませんね。面白ければよかろうもん(それは作る側の台詞)。