感想日記 夜明けの青

主に小説・アニメ・マンガの感想、日記、雑感 誰かの役には立ちません @madderred100

【個人用メモ】最近見たもの

映画 -89

「野火」

 覚えてない。原作の忠実な再現と言った感じだったはず。ただ、原作の言い訳めいた所がなくて、好印象。ただ、思い返せば、小説版への苛立ちは「ひかりごけ」を読んだ今なら、恐らくは、図星を突かれた感じだったのかもしれない。

 ここで思い出すのは、山本七平さんの言葉で、道徳的とは、ある行いに対して、批判的な言動を浴びせるよりも、その非道徳的な行いをしなければならない状況自体への批判でなければならない、ということ。

 人肉を食べなければいけなかった人を、なぜ食べたと詰問することに意味はなく、人肉を食べなければならない状況を今後、二度と作り出さないことに、本当の道徳がある。

 

テラビシアにかける橋

 見た目の時間より、映画の中の時間が長くて驚いた記憶。展開が詰まっていて、面白かった。友だちの女の子もすごくかわいいし、よくできた映画。

 

ルディ・レイ・ムーア

 ある年代の黒人特有の、ブラザーフッドによる内職からの成り上がり。アメリカンギャングスタ、だったかな? あれは兄弟で麻薬を作っていたけど、今作はレコード。成り上がりものかな、と思って見始めたけれど、内容は楽しそうに映画を作る、クリエイター系の作品だった。ウェズリースナイプスの、胡散くさい役、好き。

 

森山中教習所

 日本のノスタルジックな青春映画、好き。これもライナスの毛布。現状打破のエネルギーがなく、ほどよい脱力感と無力感が、すごく良かった。

 

「ニューヨーク 眺めのいい部屋売ります」

 面白かった記憶があるけれど、うまく思い出せない。犬の手術と、あるイスラム系の移民が、事故の現場から逃げ出した、という二つを使って、ただの引っ越しをサスペンスに仕立て上げていて、すごかった(語彙力)。テレビ越しに、何が何だか分からないまま、事件が大事になっていく様は、311を思い出した。

 

パイレーツ・ロック

 また見てしまった。二度目に見て、面白かったものって、そう多くないんだけど、これは面白かった。沈没寸前で、水の影が流れる所がすごく好き。やっぱりノスタルジックに弱くて、しかも、日本の夏と、イギリスの没落期の話は、多分、自分に刺さっているんだと思う。

 

ジュマンジ ウェルカム・トゥ・ジャングル」

 ジュマンジのリメイク(?)作品ということで、あまり期待はしていなかった。宇宙に行っちゃう、オマージュ作が昔あって、金曜ロードショーで一度見たきりだったり、あの、ドンドコドンドコの音が怖かったりと、何か、ジュマンジには思い出があったりする。

 今作の話をすると、ジュマンジがゲームになったということで、フローチャートに沿って進む形が、過去作との違いになっていて面白かった。ゲーム内でパイロットだった彼が、現実に戻った辺りも、作品だけ見れば、ご都合主義と思われるかもしれないけれど、うまく初代をオマージュしていてよかった。

 

「6アンダーグラウンド

 もっと近未来のSF的な話かと思った。アクションはやっぱり一級品だな、と思うけれど、ストーリーの流れは普通かな、と。アラブの春以後に生きていて、しかも民主化はならず、軍事政権が跋扈する現代で、西洋主義的な啓蒙による、民主化って、今時どうなのよ、とは思う。もちろん、それを脚本内では、一応処理してはいるけど……。まあ、心情的に乗り切れないだけ、ともいう。

 

3月のライオン 前編」

 映画二本目だったから、かなりぼんやり見ていた。最近、将棋熱が復活してきて、りゅうおうのおしごとのアニメを見てから、将棋の作品を見たいな、と思って見た。主人公の桐山零君と、その家族の関係が、すごく複雑で考えられてるな、と思う。アニメの方も見て、記事にしたい。

 

「聖の青春」

 松山ケンイチ東出昌大、両氏のビジュアルが完璧だった。何で、羽生さん(がモデルの七冠棋士)は、他の棋士を壊してしまうの? 大分、没入していたのか、最後では泣いてしまった。奔放でわがままで、何やってるのかと思うこともあるけれど、それが村山聖という人間の魅力だったんだろうなぁ。

 というか、痛みの描写が良かったのかな? 松山ケンイチさんの演技もさることながら、どうにも、息苦しい画面が続いていて、それも良かったと思う。将棋の緊迫した雰囲気と相まって、いい感じ。

 

「ペンギンハイウェイ」

 久しぶりに、がーっとのめり込んだ。原作は読んだことがあったけれど、ほとんど新作を見るような気持ちだった。クライマックスで、銀の月にペンギンと一緒に突っ込んでいくシーンが、もうあり得ないほど美しくて、涙が出た。銀の月が鏡になっているので、そこを通りつつ、実際の街並みと、鏡に映る街並みが、画面に収まっていて、冒頭のシーンにエスタブリッシングショットを置いたのは、そういう意味か、と唸った。

 それと、ストーリーについて、原作を読んだときは気付かなかったけれど、これはセカイ系の系譜だな、と思った。主人公は無力な小学生で、世界の危機と戦うのは、お姉さん、という配置が、特にそう思う。

 

「太陽の王子 ホルスの大冒険」

 ほとんどホルスの出番がなくて、驚いた。主役はむしろヒロインのヒルダの方で、葛藤もヒルダが強く背負っている。これは新しすぎる。昔、近代文学に関連して、小説的主人公と、神話的主人公という概念があるのを聞いたことがある。小説的とは、内面の葛藤を主に担当するという意味で、神話的は、行動によって物語を進めていく存在。これは別に、二人以上の登場人物に限る話でもなく、一人の人間が物語の中で、振り子のように揺れ動くこともあるのだけど、とにかく、そういう造りなのかな、と。ホルスが持っている解決の力が、ヒルダには通用しなかったのを見ると、かなり悲劇的な物語に見える。

 

デジモンアドベンチャー2 ディアボロモンの逆襲」

 前作の、ぼくらのウォーゲームを上手く、踏襲してるんだなと思った。脱英雄譚を、この頃にやっていたのは、興味深いけれど、思考がそこで止まる。オメガモンの両腕が取れるところは、エヴァっぽいな、とか、そんな雑な感想。

 

新書 24
評論 37
小説 17
「異自然世界の非常食 2」著 青井硝子
 代理戦争、面白い。一巻のサバイバル要素が薄れて、タコとの戦争、あとはサシミちゃんとか、おとーさん以外の葛藤がメインになって、物語を畳に来てるな、と感じる。というより、書籍版とネット版が、もうばっちり展開違ってたと聞いて、後悔している。一番初めに読んだときに、横着せず、読んでおくべきだった。

 

アニメ 15

「りょうおうのおしごと」

 将棋熱が再熱したので、見てみた。作品を通して、将棋を見たい自分としては、もっと盤面について語ってほしかったけれど、放送当時、話題になってたのを見ると、キャラに振った今作は、正解だったのだろうな。もちろん、それが悪い訳ではなく、それはそうだろう、と思うし、納得はしている。

 あとは、天衣ちゃんがかわいすぎる。けど、そういう消極的なやさしさは報われないよ、と教えたい。桂香さんも好き。挨拶強要おばさんと呼ばれてるの、かわいそう。姉弟子は不憫かわいい。恋愛に関して、悪手ばかり指すの好き。でも、メインヒロインがぴんと来ないのは、自分としては珍しかった。