感想日記 夜明けの青

主に小説・アニメ・マンガの感想、日記、雑感 誰かの役には立ちません @madderred100

最近見たもの

「アド・アストラ」

 ブラッドピット主演、宇宙SF。主人公のロイ・マクブライド中佐は、父を地球外生命体を探索する計画リマ計画によって亡くしている。父の背中を追い、自らもアメリカ宇宙軍に入隊し、宇宙開発に従事していたある日、大災害をもたらした海王星からのサージ電流が、リマ計画のマザーシップから発せられていることが判明する。サージ電流の元凶をロイの父、クリフォードではないかと疑ったアメリカ軍は、クリフォードとの交信のため、ロイを火星へ派遣する。その道中、ロイはリマ計画の隠された秘密を知ることとなり……。

 

 というあらすじ。2001年宇宙の旅をリスペクトした作品のようで、(人類の)孤独を通低音として、人間にとっての他者とは何かという作品になっている。キリスト教圏の宇宙もののストロングな部分としては、人間が想像した最大の他者である「神」が作品の影に透けて見えることで、どれほど地球から離れた真空の闇の中でも、人間が想像する生き物である以上、そこには想像しがたい他者がいる、その象徴が「神」そして、もっとも身近な隣人である肉親になるのだろう。まあ、他者を規定する概念である「個人(individual)」がキリスト教的価値観から生まれているのだから、その答えは既に想定されているともいえるか。環境音がオミットされているのも、孤独を際立たせる憎い演出。

 逆に、多神教的世界観における宇宙とはどういう存在なのか、という疑問が作品を見て生まれた。付喪神のいる日本では、宇宙へ行ったとしても、旅をともにする宇宙船であろうと計器類であろうと、友人としてしまえるので究極の孤独は存在しないことになるし、ではそういう世界観を持つ人間にとっての宇宙とは、何を象徴するものなのか。「彼方のアストラ」が少し気になっている。そもそもフロンティアスピリッツの伴わない人間にとっての、宇宙開拓とは何だろう。

 

「needy girl overdose

 精神が弱めで、承認欲求が強め、顔面最強の女の子を世界一の配信者にするアドベンチャーゲーム。まだエンディングを三つ四つ開いただけ。

 楽しみどころとしては、女の子を自由に操作できるという点。操作といってもプレイヤーの化身としての操作ではなくて、プレイヤーが望む方向へヒロインのあめちゃんを誘導することの快楽がある。プレイヤーがこれやって、と伝えると、あめちゃんは屈託なくそれに従ってくれる。その分、まほうのおかしを与えたり、やみ度が上がって、暴走したりかまってちゃんになってくると、その奔放さが逆に魅力になってくる。アンコントローラブルなあめちゃんがよりかわいく感じられるのだ。従順なあめちゃんが手に負えなくなっていく、その逸脱が脳みそに訴えかけてくる。かなり面白い。