感想日記 夜明けの青

主に小説・アニメ・マンガの感想、日記、雑感 誰かの役には立ちません @madderred100

感想「アニメ 音楽少女」アイドルものの、一つの変奏

 

 完結して、一週間ほど経ちましたが、感想記事です。

この音楽少女、随分前から活動していた企画のようですが、自分は全くの初見で今回のアニメから知りました。どうも軽く調べたところだと、以前から追っていた人には、ちょっと悲劇的なアニメ化だったのかな、という匂いがしないでもないですね。あと作画が悪かったので、クソアニメ的に楽しむ人もいたようですが……。とはいえ、ぼくはかなり真剣に楽しかったですよ。というのを、書いていこうと思います。

 

アイドルに憧れる帰国子女の山田木はなこ、両親の音楽ツアーにより、日本へやってきた所から、物語は始まります。空港では売れないC級アイドルの音楽少女が、アイドル発掘オーディションを開催しており、プロデューサーの池橋Pに誘われ、はなこはそのオーディションに参加することになります。はなこはそこで見た音楽少女の歌に惹かれ、音楽少女の手伝いをすることになります。

というのが、だいたいのあらすじですね。実はぼく、この時点で一度、音楽少女を切ってしまったんですよね。直接の原因は二話を見損ねた、ということではあるんですが、一話があまり魅力的ではなかったと感じたのも事実です。

が、このアニメの面白い所は二話の一番初めにあります。主人公のはなこは音楽少女に惚れ込み、応援をしたいと願い出るのですが、そこで取る方法が新しい。彼女は音楽少女にアイドルとして参加するのではなく、プロデューサーとして、音楽少女の手助けをしていくのです。アイドルものでPといえば、アイドルマスターが連想されると思いますが、アニメ音楽少女は、まさにそのPを女の子として、物語の中に取り込んだのが、面白いと思いました。アイドルマスターも一連のアニマス、アニデレ、Mアニと三作のアニメ作品がありますが、どの作品もアイドルがメインのため、アニメオリジナルキャラのプロデューサーの掘り下げはほぼないに等しいのが現状でした。その状況は当然といえば、当然なのですが、アイドルをマネジメントするPがどこまでも気の利く有能プロデューサーでは、残念ながら起伏のある物語は作れません(作れるかもしれませんが、アイドルの葛藤を描くのに、少し邪魔ではないですか?)。そこで初代アニデレの通称武内Pに顕著だと思いますが、プロデューサーもアイドルと共に成長していく、というのが物語の強い形としてありました。が、先程も書いたように、アイドルものはあくまでアイドルがメイン、プロデューサーはそれを引き立てる脇役な訳です。そんなPにどれだけ時間をさけるのか、というとかなり厳しかった。

そこを、アニメ音楽少女は、一つの回答を見せた訳です。つまり、プロデューサーも女の子にして、アイドルと同等に扱おう、と。まあ、ほぼオリジナルアニメだったからこそ出来たことですかね?

 

序盤は、そういった新しさが面白かったわけですが、中盤以降は特にキャラクターが非常に良かったと思います。ぼくは四話のシュープちゃんの話が非常に好きなのですが、シュープちゃんの地味顔、いいですよね。琴子さんのオーラおっぱいも好きです。いや、そんな話をしてるのではなくて、なぜ四話なのか、ですが、とあるミスによって、メイクさんが現場にこられなくなり、さあどうするかとなった時、音楽少女のみんなは一度、メイクの得意なシュープちゃんにメイクを頼むのですが、メイクに一家言あるシュープちゃんは簡単には出来ないと答えます。そこで、彼女らがどうしたのかというと。自分たちで何とかしよう、というのです。それが何? という状態とは思いますが、ぼくはここが好きなんです。音楽少女はそれぞれ得意なことがあり、それぞれが活躍できる場面がやってくるのですが、そこで彼女たちは(四話ではシュープちゃんへ)助けてくれるのを決して強要せず、問題を解決するために、それぞれが音楽少女に力を貸すのは、あくまで本人の意思によるのです。

二話で、音楽少女の心得が語られ、少しでも気付いたことがあったら何でも言い合う、ちょっとでも為になると思ったら取り入れること、その二つを彼女たちは大切にしています。そんな彼女たちが、それでも困った時、何とかするのは自分自身なんだ、と行動する姿が、ぼくにはとても眩しく見えます。そして、そんな仲間の姿を見て、少しでも力になりたいと奮起するメンバーたちを、とても凛々しく思うのです。彼女たちは音楽少女というチームを非常に大事にするけれども、そこに依存することはなく、一人ひとり自立している。また、その問題点を抱えていたのが、羽織ちゃんだった訳ですが、十一話でそれを解決していくのは良かったですね。

 

そして、賛否が分かれるだろう最終話ですが、ぼくはかなり否寄りの意見ですね。あくまで音楽少女を応援したいと思っていたはなこがアイドルになるのは、少し積み重ねが足りないんじゃないかな、と。けれど、3Dライブはけっこう良かったですね。という所で終りにしておきます。

 

追記です。はなこのVtuberがあるの知っていましたか? 音楽少女の世界観が好きな方はきっとはまると思いますよ。かなりゆるめの動画ですので、なんじゃこりゃ、となること請け合いです。

 

風で家が揺れている夜