感想日記 夜明けの青

主に小説・アニメ・マンガの感想、日記、雑感 誰かの役には立ちません @madderred100

感想「裏世界ピクニック」百合の侵食について

 

 三冊あるうちの一冊しか読んでないので、感想というより雑感という感じです。

 

百合SFということなんだけど、作品的にもまだ序盤ということで、SFについて何か言うべきことも見つからない訳です。ので、自分の興味としても百合についての話になるんだけど、これまた根拠のない感想ですよっと。

 

次に百合が来る、と日頃考えている訳ですが、最近は百合姫の連載陣が単行本が売れない、みたいな話題を聞いて、どうしたものかと悩んでいます。しかし、百合が切り拓いた可能性というのは、実はメインストリームのラブコメなどに吸収されて、行くんじゃないのかな、というのが最近の自分の考えです。

実際に、「裏世界ピクニック」がそうであるように、百合が他のジャンルに侵食しているのがその証拠のようでもありますし。

 

じゃあ、それが何かというと、ヤバい女の子が広く受け入れられるようになったのかな、と。

これは別の所で書こうと思っていたんですけど、志村貴子さんの「わがままちえちゃん」を読んで、さらには大島智子さんの「セっちゃん」なんかも加えて、そしてそして、「やがて君になる」の燈子さんなんかが顕著なんですけど、

 女の子ってずるくない?

 と思った訳です。で、そのずるさって何。それはこちらのブログで書かれているんですが、

petronius.hatenablog.com

可愛い女の子というのは、その美によって、他人を使役できるんですよね。いや、女の子に限らないし、美しさに限定する意味もないですけど、あえて恣意的に言うと、そうなるわけです。

可愛い女の子は、何をしても許される。

そういう現実は、この業界ではご褒美です、という言葉が端的に示していますね。

 

その状況を考えて、さらに付け加えるとするなら、現代に生きるぼくらはそういう女の子をかわいいとまで思ってしまう訳ですよ。それは容姿についてではなく、他人を使役するようなわがままさ、というものを愛してしまう。

それが上に書いた、ヤバい女の子を受け入れてしまうという意味です。

 

ぼくが最近書く女の子というのは、そういう子ばかりで、自分の感性の問題なのかな、とも思うんですが、まあ、世間をあまり舐めないで、進歩的な感性が世の中には溢れていると考えると、こういうヤバい女の子たちは、きっとこれから色々な作品に、それこそ自意識を掘り下げるような、彼女たちが今まで主戦場としてきた作品以外に、多数登場するようになるんじゃないかな、と。

 

というか、もう登場してるんですよね。それが「裏世界ピクニック」で書かれている訳で、作中でもメンヘラじゃん、とかストーカーかよ、という女性から女性に対する所有欲が、否定的なニュアンスではあるけれど書き込まれている。それを見ると、ここまでぼくが書いたことというのは、古いのかもしれない。

 

勿論、もっと広範に作品を見ていかないといけないし、百合小説がたどってきた道というのも見なきゃいけない訳で、どうなっていくのかはじっくり見極める必要があり、また自分でも書いていかなければいけないんですが、まあこういう時代の流れみたいなものも楽しんでいけたらな、と思います。

 

夜更かしが過ぎる四月