感想日記 夜明けの青

主に小説・アニメ・マンガの感想、日記、雑感 誰かの役には立ちません @madderred100

感想 読書

感想「嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん 完全版 幸せの背景は不幸」著入間人間 どうして大切なのか分からないし、分かりたくないけれど大切だと思ってしまうもの、つまりは愛について

嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん 完全版 幸せの背景は不幸 (メディアワークス文庫) 作者:入間 人間 KADOKAWA Amazon internet explorerを立ち上げるだけでファンが唸りだすデスクトップパソコンの画面には、googleのトップページ(yahoo! japonからわざわ…

感想「万事快調 オール・グリーンズ」著波木銅 

万事快調〈オール・グリーンズ〉 (文春e-book) 作者:波木 銅 文藝春秋 Amazon 偶然手に入れた大麻の種、何もない田舎から脱出するために工業高校の女子三人組は「葉っぱ」を育てて売る計画を立てる。いろいろな問題もあるけど、”万事快調” だいたい二部構成…

感想「異類婚姻譚」著本谷有希子 変わりたくないけれど良くなりたいという欲望

異類婚姻譚 (講談社文庫) 作者:本谷有希子 講談社 Amazon 「はやて×ブレード」という漫画を読んだ。とある寮生の学園で「剣待生」と呼ばれる剣術を収めた学生が日々「星獲り」という勝負に切磋琢磨している。この学園の実態は、生徒会長を務める天地ひつぎが…

感想「平安姫君の随筆がかり」著遠藤遼 パラレル平安後宮を清少納言が駆け抜ける

平安姫君の随筆がかり 一 清少納言と今めかしき中宮 (講談社タイガ) 作者:遠藤遼 講談社 Amazon 中宮定子に仕える女房、清少納言が「源氏物語」の作者、紫式部と宮中を縦横無尽に駆け巡る。内裏を騒がすふしぎな噂も、昔の恋人に頼まれた面倒事も、清少納言…

感想「マイシスター、シリアルキラー」 無垢と罰の葛藤の場としてのセカイ系

マイ・シスター、シリアルキラー (ハヤカワ・ミステリ) 作者:オインカン ブレイスウェイト 早川書房 Amazon 妹が、また殺してしまった。 コレデとアヨオラの姉妹は、ある秘密を抱えている。 アヨオラが殺した三人目の彼氏フェミの遺体をコレデが片付けるとこ…

感想「源氏物語の時代 一条天皇と后たちのものがたり」山本淳子三部作(仮)から読み解く、時代の中心

源氏物語の時代―一条天皇と后たちのものがたり (朝日選書 820) 作者:山本 淳子 発売日: 2007/04/10 メディア: 単行本 平安人の心で「源氏物語」を読む (朝日選書) 作者:山本淳子 発売日: 2014/06/10 メディア: 単行本 枕草子のたくらみ 「春はあけぼの」に秘…

「花ざかりの方程式」著 大滝瓶太 はかりがたい距離をはかる方法について

SFマガジン 2020年 08 月号 発売日: 2020/06/25 メディア: 雑誌 「なぞなぞを解かずに解く方法。必要なのはそれだ。」P,48 「桜塚展開2次の項には花が咲く」これはメタファーではないと言明される。また「これは事実でなく現実である」という念押しは、方程…

感想「メタモルフォーゼの縁側」著 鶴谷香央理 思いやりは雪だるま式に

メタモルフォーゼの縁側(1) (カドカワデジタルコミックス) 作者:鶴谷 香央理 発売日: 2018/05/08 メディア: Kindle版 祝、完結。 「メタモルフォーゼの縁側」と短編集「レミドラシソ」のネタバレを含みますので、ご注意ください。 今作は、オタク談議に憧れ…

感想「2010年代SF傑作選1・2」専門性と文脈について

2010年代SF傑作選1 (ハヤカワ文庫JA) 発売日: 2020/02/06 メディア: 文庫 2010年代SF傑作選2 (ハヤカワ文庫JA) 発売日: 2020/02/06 メディア: 文庫 一月ぐらいかかって、ようやく読み終えたので、久しぶりに記事を書きたいと思います。正直、SFって「アス…

感想「折りたたみ北京 現代中国SFアンソロジー」え、これもSFなんですか?

折りたたみ北京 現代中国SFアンソロジー (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ 5036) 作者:郝 景芳 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 2018/02/20 メディア: 単行本(ソフトカバー) 記念すべき100記事目。といっても、ほとんどが最近見たものという備忘録なのだけど…

感想「わが心のフラッシュマン ロマン革命PART1」 人間の本能と物語

わが心のフラッシュマン (ちくま文庫―ロマン革命) 作者:中島 梓 出版社/メーカー: 筑摩書房 発売日: 1991/12 メディア: 文庫 自分も詳細は知らないが、恐らくは特撮シリーズのうちの一つ、フラッシュマンに端緒を発した物語論プラス、中島梓あるいは栗本薫の…

感想「人身御供論--通過儀礼としての殺人」著 大塚英二 近代における成長と自閉

人身御供論 通過儀礼としての殺人 (角川文庫) 作者: 大塚英志,FISCO 出版社/メーカー: KADOKAWA 発売日: 2002/07/21 メディア: 文庫 購入: 4人 クリック: 33回 この商品を含むブログ (33件) を見る ちょっとメモ程度の内容です。 近代以前の通過儀礼とは、生…

感想「82年生まれ、キム・ジヨン」他人の痛みを知る幸福

82年生まれ、キム・ジヨン (単行本) 作者: チョ・ナムジュ,斎藤真理子 出版社/メーカー: 筑摩書房 発売日: 2018/12/07 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログ (2件) を見る 素晴らしい作品だと思いました。 内容はとある女性の半生記といっ…

感想「英国メイド マーガレットの回想」ダウントンアビーの予習として

英国メイド マーガレットの回想 作者: マーガレット・パウエル,村上リコ 出版社/メーカー: 河出書房新社 発売日: 2011/12/22 メディア: 単行本 購入: 1人 クリック: 1回 この商品を含むブログ (7件) を見る 原題は「Below Stairs」意味は階下の住人で、主に…

感想「少女不十分」著 西尾維新 クリエイターの原罪とは何か

少女不十分 (講談社ノベルス) 作者: 西尾維新,碧風羽 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2011/09/07 メディア: 単行本(ソフトカバー) 購入: 16人 クリック: 469回 この商品を含むブログ (126件) を見る 「小説は飢えた子どもを救えるのか」 この小説で問わ…

感想「映像の原則」著 富野由悠季 クリエイターにとっての情報の取捨選択

映像の原則 改訂版 (キネマ旬報ムック) 作者: 富野由悠季 出版社/メーカー: キネマ旬報社 発売日: 2011/08/29 メディア: 単行本(ソフトカバー) 購入: 15人 クリック: 98回 この商品を含むブログ (72件) を見る 最近、もっと映画やアニメを楽しみたいと、絵…

感想「裏世界ピクニック」百合の侵食について

裏世界ピクニック ふたりの怪異探検ファイル (ハヤカワ文庫JA) 作者: 宮澤伊織 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 2017/02/28 メディア: Kindle版 この商品を含むブログ (16件) を見る 三冊あるうちの一冊しか読んでないので、感想というより雑感という感じ…

感想「世界の終わりの庭で」著入間人間 絶望の中で触れる指先

世界の終わりの庭で (電撃文庫) 作者: 入間人間,つくぐ 出版社/メーカー: KADOKAWA 発売日: 2018/09/07 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (1件) を見る 「(中略)死ぬまでに間に合いそうもない。でもそれで動かなかったら、必ず死ぬからなにもしないな…

感想「タナトスの子供たち 過剰適応の生態学」中島梓 異常な世界に対するぼくらのたたかい。

タナトスの子供たち―過剰適応の生態学 (ちくま文庫) 作者: 中島梓 出版社/メーカー: 筑摩書房 発売日: 2005/05 メディア: 文庫 購入: 1人 クリック: 9回 この商品を含むブログ (38件) を見る 中島梓さんのヤオイに関する評論。「ひとはなぜやおうのか?」を…

感想「世界史としての日本史」半藤一利×出口治明 視点を切り替えることの重要性

世界史としての日本史 (小学館新書) 作者: 半藤一利,出口治明 出版社/メーカー: 小学館 発売日: 2016/08/01 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (3件) を見る 説明不要のお二人の対談本。タイトルにあるように、日本史を世界史の中で見つめ直すという事…

感想「蛇を踏む」川上弘美 自我のヴァリエーションとしての文学

蛇を踏む (文春文庫) 作者: 川上弘美 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 1999/08/10 メディア: 文庫 購入: 3人 クリック: 17回 この商品を含むブログ (136件) を見る 今回は、「蛇を踏む」文集文庫版で、表題作の他にも二編「消える」と「惜夜記」を交えて…

感想「一つの教訓・ユダヤの興亡」山本七平 黄禍論と反ユダヤ主義

一つの教訓・ユダヤの興亡 作者: 山本七平 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 1987/11 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 以前にユダヤ関係の本の感想を書きました。が、まあその内容がひどいなぁ、と思っていたので、現在勉強中。で、今回の本で…

感想「私のなかの「ユダヤ人」」ユダヤ人とは何か、差別を受ける人々の問い

私のなかの「ユダヤ人」 作者: ルティジョスコヴィッツ 出版社/メーカー: 現代企画室 発売日: 2007/08/01 メディア: 単行本 クリック: 1回 この商品を含むブログ (6件) を見る 「ユダヤ人とは、ユダヤ人の母から生まれた者、もしくはユダヤ教に改宗し他の宗…

感想『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん』シリーズ 悪い子は生きていてはいけないのか?

ええと、初めての感想記事ということになります。 嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん 幸せの背景は不幸 (電撃文庫) 作者: 入間人間 出版社/メーカー: KADOKAWA / アスキー・メディアワークス 発売日: 2013/06/26 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを…