感想日記 夜明けの青

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感想「一つの教訓・ユダヤの興亡」山本七平 黄禍論と反ユダヤ主義

 

一つの教訓・ユダヤの興亡

一つの教訓・ユダヤの興亡

 

 以前にユダヤ関係の本の感想を書きました。が、まあその内容がひどいなぁ、と思っていたので、現在勉強中。で、今回の本です。山本七平さんって、「一下級将校から見た帝国陸軍」とか「空気の研究」を読んでいて、何だかすごく論理的で、それ故に自分には理解できない人、という印象がありますね。文中に出てくる例が、一時代古い(それを書いている時点では、とても時事的なんでしょうけど)とかあって、読みやすいひとではないですよね。

とはいえ、この人の著作を追っていけば、日本ではだいたい生きていけるんじゃないかな、とか思うくらいには、視点が鋭くて、日本に密着した、ローカルと言っていいのか、うーん自分じゃ判断が付かない、巨人です。

 

という訳で、このブログも感想とか言いつつ、まだまともには語れる実力がないので、メモ的に書いていきます。

 

イスラエル建国を考える時、それはユダヤ人国家の滅亡から考えなくてはいけない、というのが、この本の序文で語られます。なぜなら、ユダヤ人国家の再建は、その以前に滅亡があったからだ、と。

自分から言わせてもらうと、そうは言われても分からないよ、という感じですが、今後はこの視点で、ひとまず追いかけてみようとは思っています。建国←滅亡の中の論理というか、その因果がまず、あるのかないのか、という所からぼくは理解できていないので、それが正しいとか間違っているとか、言える立場じゃないんですね。

 

次に、いかにして、ユダヤ人がその民族的統合を保ったのか、という謎。用語的には、ディアスポラ(離散)というらしいのですが、ぼくは知識ゼロ。これも追いかけなければいけない命題になっています。と、同時に日本人が、日本国という国家を失った時、その民族的、文化的統合をどのようにして保持するか、というのも考えたいと思っています。こういう視点って、あんまり日本の中だと重要視されないですけど、経済的に停滞していて、人口減少が始まっている日本で、グローバルな波にさらされて、日本自体が崩壊するっていうのは、あり得ないことでもなくなってきているんじゃないですかね?(よく理解していないので疑問形)とかまあ、大言壮語しても仕方ないですが、日本の伝統というものが、どんな形をしているのかって、ぼくらは全然知らないですよね。和服がなぜ生まれて、どうして愛されてきたのか、みたいな話ですよ、多分。

 

あとは特権の話、とかも面白かったですね。完全に在日特権の話(「ネットと愛国」面白いですよ)してるじゃん、という部分があったので、ちょっと自分の言葉で語らせてもらうと、支配・被支配という関係性の中で、対等である権利を支配側から、被支配側へ許すとき、文化が近しい国家・組織・集まりであると、その権利の授与は当然のことのように受け取られ、逆に異質な文化圏に、それが行われると、それは「特権」と見做されてしまう。

うーん、ちょっと書くの下手ですね。しっかり理解できてないのもあると思いますが。

 

それと興味深かったのは、ヨセフスとベン・ザッカイの話ですね。戦の中で、自死を選び、潔く死ぬのが良しとされる中で、どうそれに抵抗するか、という話ですが、上記の二人はユダヤ国家滅亡後に、我々(ユダヤ人)がどう生きるかを考えることで、その誘惑的な自滅への道を拒否するんですね。ヨセフスは戦の指揮官をしていたので、強烈な批判にさらされるのですけど、至って冷静に反論するのが、その決意の固さを物語っていて、カッコいいなあと思いましたね。物語的にも映える人物ですよ。死ぬべき時というものが、本当に今なのか、これって自分によく問いかけておかなければいけないことですね。

 

とまあ、こんな感じですかね。中東問題って、今も昔も重要なんだなあ、と思いました、まる。

 

足の指が冷える六月の夜